日々の活動

2010―2013のセミナー

建築家と考える 家づくり勉強会 第1回~第12回

第12回 2012.10.24

講師:中島 弘人(中島プランニング 代表)

場所:葵丘

k12

講師の中島さんは岐阜県生まれ。大学時代に美術を専攻しており、色への関心が強い。設計にあたっては温かみがあって家族で楽しく過ごせることを大切にしていると話す。
講演では、施主の夢を実現、具現化することが建築家の1つの役割とし、模型などを使いながら、シンプルでモダンなデザインを中心にコストを抑えながらも快適で、メンテナンスが少なくて済むような家づくりについて話された。
交流会では、人口減少していく社会において、既に800万戸の空き家がある。それらをもっと活用するためにも建築家の活躍が期待される等の減築やシェアハウスの提案など、市場の可能性について様々な意見がでました。

第11回 2012.9.20

 講師:蛭川 昭彦(H建築スタジオ)

場所:葵丘

k11

講師の蛭川さんは三重県生まれ。大学卒業後SE(システムエンジニア)の仕事を経て、建築家を志した。自分の好みや作品性よりも、施主の実現したい暮らし方や住み心地や気持ちの良い空間を実現することが大切だと話す。 講演では、打合せを重ねて、施主本位の家づくりを大切にしている。設計プランの提案に当たっては、模型・CG、そしてアニメーションなどにより、施主との認識の誤差を小さくするようにしているが、建築家の役割はそれにとどまらない。形として目に見えない音の響きや空気の流れなどをデザインすることが気持ちいい空間づくりには欠かせないと話された。 交流会で質問に応えて、木造やRC造など構法による特性の違いや、建設コストや光熱費を抑えるための工夫などについて分かりやすく説明。最後に、住宅について、奇抜なものが必ずしも良いとは思わない。永く愛着が持てる家が一番だと結ばれました。

 

第10回 2012.8.23

講師:眞木 啓彰 (MA設計室 代表)

場所:葵丘

k10

講師の眞木さんは豊橋生まれ。高校生の頃、教育実習で来た先生(実習生)の建築作品を見て驚き、建築に興味を持ち始めた。ヨーロッパの建築に感銘を受け、瀟洒な家づくりを心掛けているという。 講演では、作例を紹介しながら、最近力を入れている「ゼロスタイル」の家づくりを説明された。そして、費用を抑えながらも品質の高い住宅を作るために、他の建築家や工務店と連携する取組みを紹介。また、施主にも家づくりを楽しんでもらうために、一緒に壁の仕上げをすることもあると話された。 交流会で質問に応えて、建築家の役割として、空間の豊かさを提案するだけでなく、施主と施工者の間に入り客観的な立場から施工管理するため、建物の品質が良くなると話されました。

 

第9回 「かな交じりの家づくり」 2012.7.25

 講師:笹野 直之(笹野空間設計 代表)

場所:葵丘

k09

講師の笹野さんは名古屋生まれ。小さい頃から大工さんに憧れ、小学生のときに明治村のフランク・ロイド・ライトの作品を見て感銘を受けたという。 講演では、事務所兼自宅ほか近年の作品を中心に紹介。日本人は漢字とかな(仮名)を使って考え、漢字は論理的、かなは感覚的な事柄を表す。建築においては「漢字」=「エネルギー効率」、「機能性」。「かな」=「感覚的な要素」、「心地よさ」とし、「かな」に関わる大切な設計要素となる「外部空間」「吹抜け」「スキップフロア」「格子」「透明・透過」という観点について、作例とともに説明された。 交流会では、床暖房は輻射熱によるものなので吹抜けなどの空間に適しているといった具体的なアドバイスのほか、建築家に要望を伝えるときは、色形もさることながら、「どう住みたいか」という夢をぶつけてほしいと話されました。

 

第8回 「“個性”にあった家づくり」 2012.6.28

講師:生田 京子(STANDS ARCHITECTS)

場所:葵丘

k08

講師の生田さんは東京都出身。岡崎に暮らしていた石工の祖父が持っていた日本の建築や庭の本を見て、建築の世界に興味を持ち始めたという。 講演では、代表的な2作品を中心に、施主の個性や敷地の特色を活かした家づくりを紹介。施主本人が個性を自覚していなくても、人それぞれに特色があり、ゆっくりと時間をかけて対話を重ねることで、施主自身も気づいていなかった欲求(ニーズ)を引き出せると話された。 交流会では、デンマークに留学していた時の経験を踏まえ、長く世代を超えて愛され残っていく建築は、機能的なフレキシビリティよりも、感銘を受ける豊かな空間を持っていることが重要な要素と話された。また、施主には「こんな空間、建物が好き」という感覚を持つことが大切だとアドバイスをいただきました。

 

第7回 2012.5.25

講師:諸江 一紀(諸江一紀建築設計事務所 代表)

場所:葵丘

k07

講師の諸江さんは茨城県水戸市出身。10代の頃によく遊んだ水戸芸術館(設計:磯崎新)に魅力を感じて建築家を志したという。 講演では、学生の頃から最近の作品まで紹介された。独立して最初の仕事は個人宅のカーポートの設計だったが構造解析を行ったなど、設計で大切にしているのはしっかりとした構成を持った建築にすることと話された。また、施主とは互いに率直に意見を交わすことが信頼関係を作り、双方にとって満足度の高い建築ができると話された。 交流会では、会場からの質問に応えて、建築は設計する時間、建てる時間、住む時間など、建築は長い時間を前提として考えることが大切と話されました。  また、参加者の中に、日ごろ金融機関で住宅ローンの窓口業務をされている方などもおられ、ローンのことなども伺うことができました。

 

第6回 2012.4.25

k06

 講師:寺下 浩(スマイロ 代表)  村瀬 正彦(スマイロ)

場所:葵丘

名古屋を中心に活躍され、岡崎では東岡崎駅北口すぐのところにあるレストランのビルを手掛けている講師の寺下氏。住む人それぞれの色があり、それを活かす建築を作りたいという考えからユニットの名前「スマイロ」が生まれたという。今回は仕事のパートナー村瀬正彦氏とともに出演。 講演では、最近の施主の傾向として趣味を活かした要望が増えてきていると感じる。そうした楽しみを積極的に取り入れた設計をしていきたいと話された。村瀬氏は建築設計の進め方について、実際のデザイン業務の流れをCGや動画を使って紹介された。まるで実写の写真のようなCG表現や1日の日照(日影)のCGアニメーションなど、コンピュータ技術を駆使したプレゼンテーションに思わず見入ってしまいました。 交流会では、建築家としての姿勢や夢についての質問が出るなか、 しっかりとした骨組みを持った空間を作ることが建築家の仕事。 それができれば、施主の生活スタイルや趣味を取り入れて 活かすこともできると話されました。

 

第5回 2012.3.28

講師:佐々木勝敏(佐々木勝敏建築設計事務所 代表)

場所:葵丘

k05

事務所を設立して5年目となる講師の佐々木氏。1物件あたりに少なくとも300案はプランを考え20個はスタディ模型を作る。夢を持って暮らせる住宅を作りたいと言う。 講演では、設計のプロセスを進める中で、建築のだけではなくその周辺の自然や季節の変化など、例えば敷地に生えている草花や周りに見える風景など、小さなことも感じとることを大切にしていると話された。 交流会では、佐々木氏の設計に対する姿勢に共感する意見や感想が出され、意見交換の中で「身近な環境や家族を生かす建築をしていきたい。」と話されたのが印象的でした。

 

第4回 「暮らしのつくり方」 2012.2.23

 講師:桑原 雅明(株式会社 ワーク・キューブ 代表)

場所:葵丘

k04

子どもの頃からものを作ることが好きだったという講師の桑原氏。住宅設計では、施主の暮らし方が形にできているかが重要と考え、その人の個性を把握することに力を注がれている。
講演では、模型を持参いただき、ご自邸を例に暮らし方を把握しそれを形にしていく過程を紹介されました。収納や洗面やお風呂など、家の奥の方にまとめがちな要素を意識的に玄関付近や中間的なところに配置することで、そのスペースが生活の中でより生かされるようになると話された。
交流会では、「暮らし方にそんなに違いがあるのか」「小さな土地でもお願いできますか」など幅広い質問が出る中、ひとつひとつ丁寧にお答えをいただきました。
最後にこれからは高齢者の住宅こそ社会的に取り組まなければならない課題。シェアハウスなど、高齢者の暮らし方について考えたいと今後の展望について話されました。

 

第3回 2012.1.25  「マチとの関わりからスマイを編む」

講師:鵜飼 昭年(AUAU建築研究所 代表)場所:葵丘

k04

講師の鵜飼氏は、建築設計だけではなく、まちづくりのワークショップや展覧会など、名古屋を拠点に多面的に活動されている。特定のスタイルや建築構造を前提にしないのが自分の建築手法。施主の要望やまちとの関係によってその建築にとってふさわしいデザイン・形が自ずと現れると話す。 講演では、まちをどのように調査し、まちの要素からそのまちらしさを掘り下げ、いかに建築設計に反映させたかを、具体的な事例を基に紹介された。昔からのデザインや形をそのまま踏襲するのではなく、自分なりに解釈を加え、新しいデザインとして表すことで、そのまちらしさを保とうとしていると話された。 会場からは、技術的な質問や、ワークショップについて、また何年先を先読みして家を建てたらいいのかなど、幅広い質問が相次ぎました。

 

第2回 2011.12.20 第2回 「環境を活かす家づくり」

講師:吉村 昭範(D.I.G Architects 代表)

会場:葵丘

k03

講師の吉村氏は、子どもの頃から絵を描くことが好きで、自分のスケッチが実際のものになる建築の世界に感動し、今の自分があるという。
講演では、住宅を中心に、急斜面や細長いなどユニークな土地の条件やお施主様の要望を活かしながら、どのように家づくりを進めたかについて話されました。交流会では建築費のことなど様々な質問に答えていただき、今後は、自然環境を意識した家づくりをもっと積極的に取り組んでいきたいという展望で締めくくられました

 

第1回 2011.11.30

講師:栗原健太郎(スタジオ ヴェロシティ 一級建築士事務所 代表)

場所:葵丘

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埼玉の新興住宅地で生まれ育った栗原氏にとって岡崎は歴史があり文化を感じる街。大都市では、大規模ビルかリフォームやテナント設計が仕事の中心となってしまうため、建物を考えるには岡崎のような中規模の地方の街がいいと話す。講演では、1戸建ての住宅と住宅兼店舗の実例を紹介。土地と建物の関係、周辺の家(住民)との関係をどのように捉え、住宅設計に反映したかを分かりやすく話された。事例はどれもユニークで、絵本から飛びでき来たような夢を感じる建物でした。交流会では、お施主様とのやり取りについて、質問に答える中に、苦労の片鱗を伺い知ることができ、繊細な建築の姿とは裏腹に、柔軟で粘り強い建築家の姿勢を感じました。