日々の活動

まちづくりサロン

第三十四回目

7月7日は、岡崎市議会でバイオマス調査検討特別委員長をされている議員の原田様が参加され、委員会での調査内容の紹介から始まりました。

額田にある林地残材(いわゆる切捨て間伐で山にそのまま残されている間伐材)が、大雨の際に堤防を損壊するなどの実害が出ている。何とか利用方法を考えないといけないが、木材市場で材価が上がる見込みは少なく、燃料資源としての活用を考えている。ペレットストーブや薪ボイラーなど、福祉施設や教育施設など公共の建物で需要の掘り起しは可能だと思う。市内の28か所の保育施設が更新時期を迎えており、高層である必要がない建物は積極的に木で造るようにしていけば良いのではないか。建築材として木の需要が出てくれば、木くずもたくさん出て、燃料として活用しやすい社会環境になる。木くずが出るような社会づくりが大切だと思う。ナラ枯れや松枯れの被害が広がってきているが、そうした山の荒廃を防ぐためには(造材だけではなく)多機能な対策が必要ではなかと思う。森林対策は最短でも10年の年月が必要。できれば、単年度事業ではなく複数年に亘って継続的に支援できる方策を考えたい。

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参加者からは「トータルに考えた方が良い。山が崩れてからお金を出すか。その前にお金を使うか。」「100年伐期という話を時々耳にするが、100年経てば、スギは直径70センチを超える。その時まで、大木を伐る技術を継承することも大変だと思う。広葉樹を数十年放置したら、おそらく伐木は杉以上に危険で大変なことだと思う。」「ナラ枯れを放置するなどしてシイの木など照葉樹林になると生物の多様性が失われる。コナラなどは30年生までなら萌芽更新するので利用し続けられる。薪を使った暮らしをしたいという人は年々増えているが薪の値段が高いことと、市街地で煙を出しづらい社会になっていることが利用者拡大の妨げになっている。林業者とグリーンボランティア、薪の利用者が上手に仕事の切り分けをできれば価格の課題は減る。あとは、市街地で木を燃してもいいよ、となる政策が期待される。」「自分は薪風呂を使っていて風呂に入るのに2時間かかる。利便性という価値を見直すときが来ている。価値を変えていかないと人間性が失われてしまう。」などの意見がでました。

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その後、額田で活動をしているNPO法人インディアンサマーのメンバーが揃い、活動内容の紹介をされました。天使の森プロジェクトと活動地域が重なっていて、お互いに協力していきたい。今、課題となっているのは活動拠点作り。主に、来訪者が宿泊できる場所を作りたいと考えている。ふた昔前くらいに造られた貸別荘地があって10軒ほどの建物がある。地権者との話で貸してもらえなくもないが、賃貸料を負担しきれない。
参加者からは「名古屋当たりの都市圏の企業のデータベースのバックアップ施設を誘致してはどうか。」「IT企業のサテライトオフィスはどうか、四国では、実際にいくつかのIT企業が中山間地域にオフィスを持っている例がある。」「茶畑復活プロジェクトはどうか。」「まずは、宿泊できる場所をワークショップ形式でリフォームしてはどうか。他県では、そういうワークショップを面白がって、参加費を払って人が集まってくる事例がいくらでもある。」…などなど、意見が相次ぎました。

8月は、4日の月曜日18:00~です。

第三十三回目

6月2日、まず天使の森プロジェクト事務局より、5月の活動報告をしました。内容としましては、天使の森プロジェクトを紹介する講演会が、岡崎東ロータリークラブ、岡崎ロータリークラブ、愛知県へき地教育研究協議会総会の三カ所で行われこと、また、梅園小学校、宮崎小学校でポットの植替えが行われたこと等です。

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報告の後、猪や鹿の被害対策について話す中、日本の神話や欧州のドルイドの話、関西と関東で肉食の嗜好が違うなど、時折、話が分かれて並走しながらも、中山間地域の活性化の方策について話が進みました。また、東北復興支援におけるフィッシャーマンセーターの取り組みや、仙台のホームスパンの話など他の地域での取り組みを引き合いに出し、これまでのサロンでも出されたような土地個々にある魅力を深めるとともに、それぞれの点と点を結び、面にしていく企画力、プロデュースの仕方が大事なのではないか、といった意見が出されました。

次回、7月は7日、七夕の月曜日18:00~です。

 

第三十二回目

5月12日、天使の森プロジェクトとして、どんぐりの苗の育成状況、今後の取組みについて報告がありました。参加者から、今小学校で育成している苗はそれに関わっている小学生に植樹までしてもらいたい。直接参加するという体験が森や山、額田地域に愛着を持つきっかけになると思うので是非継続してほしいと意見が出されました。
報告の後、岡崎のまちづくりについて話合われました。

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岐阜県の岩村や長野県の小布施など、昨今注目を浴びている地域は20年前30年前から地道に取り組んで来た結果だと思う。話題を呼ぶ興業や建物、名物を作ることで即時的に効果を生むことも時として必要かもしれないが、長い時間をかける、あるいは時間がかかるものという認識が必要ではないか。
最近の日本の統計で生涯独身の男性が全体の2割、女性は1割。地方から若い女性が都市圏に移住し、少子化傾向は強くなる一方で、近い将来3000の集落が無くなると言われている。根本的に何かを変えなければならない状況に来ていると思う。
お金は大切だけれど、お金を中心とした発想を転換しなければ社会は持続性を確保できなくなる。海外の新興経済発展諸国など、特に人口が多い国々の生産・消費活動が隆興してくれば尚更そうなると思う。本来自然の管理をするのが人の役目。まずは自然の摂理と食の基本をしっかりと小学校などで教育して、それから他のことを考えるようにした方が良いと思う。
人口減少していく中で、商品・サービスの量が右肩上がりになるような状況を維持しようとすることは理に適っていない。自分たちの生活の質をどう高めていくかという視点が大切だと思う。
極言すれば縄文時代から江戸時代まで日本人の生活は変わっていない。基本的な生活のために1日のうち4時間働いて、あとは他のことをしていた。例えば、朝飯前という言葉があるように、江戸では朝一番に近所のお年寄りなどを訪ねて、困りごとを手伝ったりしていた。現在の標準とされる8時間の内4時間は、さらに他の欲求を満たすための労働ということになるが、「生活の質とは何か」を問うとても大切な視点だと思う。
「和を以て貴しとなす」という聖徳太子の言葉は、今、あらためて見直す価値がある考え方だと思う。明治維新以降の価値観が行き詰っている中で、それ以前の価値を再評価しても良いのではないか。
岡崎は徳川家康が生まれただけの場所と言われることもあるが、苦難の時代を生きた家康だから戦のない世を成しえた。江戸開府後に朝鮮との交流を再開したことは評価できる。
パワースポットという言葉が出て久しいけれど、今も、神社仏閣は若い人たちに人気がある。岡崎は国内でも群を抜いて寺社の多い市なのだから、そうしたものをもっと活かした方がよい。北野廃寺は遺構があるだけだが、高隆寺、瀧山寺、真福寺など1000年を超える歴史をもった寺がある。瀧山寺には運慶仏が3体もある。安倍晴明ゆかりの晴明神社のある市町村はまずない。
誇りに思えるような場所がいろいろある中で、市民や企業が自発的にそうしたものを活かして情報発信していくことが大切。行政には行政の役割があるけれど、何よりも市民からボトムアップしていくことが大切だと思う。等々、幅広い意見が出されました。

次回、6月は2日の月曜日18:00~です。

第三十一回目

4月7日はまず事務局より、天使の森プロジェクトの一環として3月10日に開催した建築座談会などの報告を行いました。この座談会は東海愛知新聞社主催で行われ、NPO法人アースワーカーエナジーは共催。「まちに息づく建築文化」を主題に7名の建築家に意見を伺いました。内容については、後日、東海愛知新聞に掲載されます。 そして報告の後、参加者に環境問題等、最近気になることや活動していることなどの話を伺いました。

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「中山間地域に住んでいると、季節に合わせた時間の刻みになってくる。今は次の冬に備えて薪を集めている。自宅周辺の雑木林ではナラ枯れが進行している。」 「間伐ボランティアをしていて、伐木をチップ化して岡崎市のごみ焼却炉の燃料として利用することを提案し、現在実証試験の準備をしている。持続的な社会基盤づくりに向けて、希望が見えてくる一方で、課題もいろいろ見えて来た。」 「山の仕事に従事して、森林の中で虫や他の生き物を見ていると、そうした自然によって自分が生かされていると感じる。他にも山から教えられることがいろいろある。」 「一口に間伐といっても、山や谷、地形や標高によって森林の性質は少しずつ違うので、理想的な施業を考えると一律にはいかないので大規模化との折り合いの付け方を考えさせられる。」 また、住宅とライフスタイルの関係、街路樹や公園の植栽の管理、食育と生活圏の自然環境のことなど、自然と市民の暮らしなどについて様々な意見が出されました。 5月は、連休明けの第二週目、12日(月)18:00~です。

第三十回目

3月3日、天使の森プロジェクトからは、活動支援団体「天使の森クラブ(仮称)」の設立準備、天使の森の木製パズル制作について進捗が報告されました。
その後、参加者の横山さんに、ご自身が部会長をされている岡崎活性化本部の乙川リバーフロント部会から市に対して出された「乙川リバーフロント地区整備、基本方針策定のための提言書」の内容を一部紹介いただきました。部会が発足して、公園内の樹木を剪定し、殿橋から岡崎城に向けた景色が少し良くなった。乙川を中心に修景を進め、回遊性を高めて水辺に親しみやすい整備を考えている。今回の提言により、心地よい雰囲気を持ったまちづくりができれば、既にある歴史性などとあいまって、「世界で最も住みやすい都市」「生活の質」などの都市ランキングにみる指標にも適うまちになる。そうした市民生活の質の向上が、まちの魅力を高め、他の地域の人々も訪れたくなるまち(=観光産業都市)になることを期待している。

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参加者からは、「現在の岡崎公園周辺の景観を考えると、公園内の景観的魅力づくりに対し更に力を入れる余地があるのではないか。」「国内旅行をして魅力を感じる場所は歴史的な建物や庭などの本物が残っている所、近年になって開発された観光地には少ないと思う」「犬山城は本物(現存天守)なので気に入っている。江戸時代の雰囲気が感じられ、外国からの来客を案内することもある」「岡崎城を木造の本物のお城(復元天守)にすれば、魅力的になる」「親水域の魅力の一つはそこに生息する生物の多様性にある。ヨシなど湿地に生える植物の繁茂できるところを残せば、飛来する野鳥の種類や数量も多くなる」「上流域の砂防ダムの形状をなんとかすれば、淡水魚が遡上できるようになり、水中の生物も多様になるのではないか」「既に多数の高層ビルが建っているが、50年くらいの幅で考えれば、適切な規制によって、それ以降の景観を方向付けることはできるのではないか」などの意見が出ました。

次回、4月は7日の月曜日18:00~です。

第二十九回目

2月3日、天使の森プロジェクトの進捗状況として、梅園小学校でも育苗箱づくりを行ったこと、ESD会議の協力のこと、天使の森の整備で案内看板を設置したことなどを報告し、その後は思い思いに額田地域の活性のための課題や方策などの話をしました。

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「最近はNPOや行政や企業などいろいろな人が考えを持って額田に来るようになったが、相互の連携があまりないので、全体的になかなか進まない」「地元の産業、例えば製茶業では働き手が減っているが、製茶だけでは収入が十分得られないので、林業やほかの仕事と合せて、季節に応じていくつかの仕事をやり繰りするなどできると良い」「他の地域から工芸家が1人2人移り住んでくれると良い。新しい視点持って地域の魅力を起こせるのではないか」「有機農業では埼玉県にある霧里農場がとても参考になるのではないか」などの意見が出ました。
最後は参加者が作成してきた昭和中期の宮崎界隈の地図を見ながら、「この店は今・・・云々」など額田まちの変遷の話となりました。

次回、3月は3日の月曜日18:00~です。

第二十八回目

1月14日は天使の森プロジェクトの報告からスタート! 現在、天使の森へ登る駐車場周辺から整備を始めている。また、桧の間伐材を利用した商品開発や地元の産業活性などの企画支援も始めており、小さなことかもしれないが確実に実現していきたいと、年始の抱負と合わせて進捗状況を話しました。

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報告の後、2014年最初のサロンということで、地元の食材を使った美味しい料理をいただきながら懇親会となりました。日頃話をしているまちの課題、山の課題に留まらず様々なテーマについて話し合いました。 次回、2月は3日の月曜日18:00~です。

第二十七回目

12月2日は、「天使の森」森林再生プロジェクトの進捗状況の報告から始まりました。 天使の森周辺の植生調査が終わり、天使の森の将来の植生計画が具体的に見えて来た。去る11月23日には今後植林するための苗ポット作りを市民参加で行った。現在それらのポットは宮崎小学校、常磐東小学校で管理していただいている。年明けには梅園小学校にも協力していただく予定。今後このまちづくりサロンを中心に、意見交換をしながら具体的にプロジェクトを進めていきたい。

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参加者からは、どれだけ多くの市民に賛同してもらえるかが大切。分かりやすく、誰でも理解できるような表現が必要。天使の森見学ツアーを開催して欲しい。構想の市民化が課題、などの意見が出されました。 また、中心市街地を流れる乙川の魅力を高めるには、なによりも川の水が良質である必要がある。水が綺麗であれば乙川周辺の修景など、活性化の方策がより効果的なものになると思う。自然石などを使用して親水域を整備できれば、市民も川辺で過ごす機会が自ずと増えるのではないか。そうした取り組みが住みやすさにつながる。既に日本は人口減少に転じ、どの自治体も市民にとっての魅力を意識的に高める必要がある。周辺市町村にはない岡崎の魅力として山や川は大きな要素となりえるのではないか、等の意見が相次ぎました。

 

次回は、2014年1月14日の火曜日18時からです。

年初のため変則的に第2火曜日となっていますのでお気を付けください。

第二十五回目

10月7日は、天使の森プロジェクトの山での活動の報告をした後、岡崎活性化本部(以下本部)の話から始まりました。本部が発足して半年余りが経過しましたが、今回サロンに参加された本部スタッフの方に改めて「岡崎活性化本部とは何か」という辺りから話しを伺いました。 「市政に民間の活力と機動力を取り込む」のが狙い。市役所内のシティプロモーション班などと連携して、街の魅力を高め、市民が「住んでみたい」と思うまちづくりを推進する。現在、市から受託した事業をはじめ20件ほどのプロジェクトが並行して進められている。シンクタンクの役割を担い、まちづくりのグランドデザインも手掛けている。1年目は調査、2年目が構想、3年目から施策を実施する予定。現在は調査の段階だが、様々な課題が見えてきている。

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参加者からはグランドデザインの作成では、「いつ・だれが・なにをする」という視点が欲しい。策の巧拙も大切だが、当事者意識を持つこと、あるいは当事者が個人としての想いから立案し、具現化していくことが一番大切ではないか。また、具体的な行動を取れる人の後にしか人は付いて行かない。実践することが大事だなどの意見が出されました。

 

次回、11月は5日の火曜日です。

*月曜が祝日のため変則的に火曜日となっていますのでお気を付けください。

第二十四回目

9月2日は、前日まで葵丘2階ギャラリーで開催されていた「アーキエイドの活動展」の感想や東北復興について参加者が各々に話すところから始まりました。 展示については良かったという意見が多く出ました。 それと同時に、東日本大震災での津波災害の経験を後世にどのように伝え、活かしていくのかが課題。例えば、1960年のチリ津波の直後に高台移転した人たちも長い年月を経て下に降りてきてしまった等、その難しさについて話が続きました。また、今回の展示のように人がある程度自由に出入りできる地域はまだ情報を得る事もできるが、福島の原発立地周辺地域はメディア報道などでもほとんど出てこない。こうした地域のことが気になって仕方がない等、原発事故について意見が相次ぎ、関心の高い話題となりました。

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途中から展示物の片付けに来ていた名工大の学生2名も参加。その内の1人は、現在アーキエイドのインターンシップに参加しており、既に4か月間現場に入っているが、目に見える進展があまりない。展覧会で紹介したものは牡鹿半島の中の一部の集落。こうした前向きに進んでいるところは5か所程度。残る30余りの所は思うようには進んでいないなど、現地で感じたこと等を話されました。

次回、10月は7日の月曜日18:00~です。