理念と目的

世界でも緑の山に恵まれた日本。その美しさと豊かさは世界が注目する日本の貴重な宝です。しかし今、その森林の4割を占める人工林の多くが放置され、崩壊の危機に直面しています。また、その山を守ってきた山間集落も、経済力の低下と過疎化によって、その存続が危ぶまれています。 地球は一つの生命体のように、様々な循環によって自らを制御し常にほぼ一定の環境を保ち続けています。その中で森林は、非常に重要な役割を果たしています。岡崎市の最も奥に位置する「天使の森」は、乙川、矢作川の源流に当たるとともに、山頂からは遠く三河湾を望むことができます。奥山から海までの一連の川の流れ、地球規模での生命の循環の流れを想起できる絶好の場所です。また、この地域は古代からの大地を基礎とし、周辺地域には縄文時代、弥生時代の遺跡が点在しており、古代から今に至る時間軸において、自然と人との関わりを再検証し、これからの持続可能な暮らし方を考えるのに相応しい場所と考えられます。 「天使の森」プロジェクトは、そういった自然と人の在り方という原点から、森林の再生、里山の暮らし、地域循環型産業を考え、その実現に貢献していくことを目的としています。その推進のために、生態学、植物分類学の研究者をはじめとした各分野の専門家、郷土研究家、アーティスト、地域に住む市民、企業、各種団体などの幅広いメンバーが、お互いの知恵と知識を共有し、共に課題解決に取り組んでいく場を創り、モデル事業を推進していきます。また、未来につながる子供たちに対し、自然と人のあるべき関係を考えるきっかけとなる様々な機会を提供していくことも大事な使命と考えています。

 

モデル地域づくり -山と町と海-

太古から人々の生活は山と密接に結びつき山から海へとつながる水の循環の中で文明を築いてきました。ピラミッド図にみられるようにそれぞれの階層には地球生命体が成り立つ役割があり、その仕組みの中で人類を含んだ生態系が成り立ちます。

fig-pyramid 奥山 生物多様性の保全地域
里山 人類が自然との共生を図りながら産業形成する地
人里 環境共生の中で人類が豊かさを享受する地域
里海 自然生態系を優先する中で、人類が海洋との接点を持つ地域
海洋 生物多様性の保全地域