日々の活動
2010―2013のセミナー
プロとともに考える家づくり 第1回~第12回
2013年10月23日
第12回 2013.10.23
講師:浅井 裕雄(裕建築計画 代表取締役)
会場:葵丘
講師の浅井 裕雄さんは愛知県生まれ。子どものころから図工やプラモデルなど、ものを作ることが好きだった。大学で国宝の待庵(たいあん、千利休作)の原寸模型制作に携わり、古い建築にも興味を持つようになった。いわゆる “スローな”視点を大切にし、設計においてはプロポーションが重要と話す。 勉強会では、30歳の頃、友人と行ったインド旅行の帰り、成田空港からの電車の車窓から見た風景に衝撃を受け「いい建築を作ろう」と思った。インドの建築で使われているような伝統的な建築素材、例えばレンガなどを使っていきたい。日本では意外に価格が高いが、簡単に手に入り家主でも竣工後の補修をしやすく、年月を経て味わいが出てくるのがいい。 作品例としてリフォーム、リノベーションの例を紹介。古いものと新しいものをバランスよく配することが大切。十分な予算がない場合には、思い切って古い部分を沢山残してそれを楽しむような考え方をするようにしている。また、新築の作品事例では、街や周囲との関係から、家の魅力を街に開いていく工夫について話された。 交流会では、現在、日本には数百万戸の空き家がある。素晴らしい建築であっても経年のなかで、使い勝手が悪くなってしまう場合もある。古い建築の良い所を残しつつ、使いやすくする提案をすることこそ、これからの建築家に求められている等、リフォームやリノベーションについて話された。
第11回 2013.9.25
講師:竹中 アシュ(竹中設計事務所アシュ 代表)
会場:葵丘
講師の竹中 アシュさんは石川生まれ、名古屋育ち。幼少の頃石川県の海辺の砂浜で、大工をしていた祖父が日よけを作ってくれて、それに感動したのが建築的な原初体験。幸運にも推薦入学で合格した学科が建築学科で、大学生活を通して建築を意識し始め、建築家を目指すようになったと話す。 勉強会では、生い立ちに始まり、建築家として独立するまでの試行錯誤の様子を話された。日本の社会がバブル経済崩壊に揺れる中、人との出会いや仕事に翻弄されつつ、建築家として独立することを決意。住宅設計を依頼されるほとんどが低予算だが、陽射しの入り方や風の流れを意識し、建築素材の地産地消を念頭に、施主の要望を実現するためにあれこれ工夫していると話された。 交流会では、素材の選び方について質問に応え、一番重要なのは床、そして手や足が直接触るところ、天井や壁はその次と考えている。永く家を使おうと思ったら無垢の素材を使うのが良い。また、これからの抱負として、永く使える家=「無理のない家」を設計していきたいと話された セミナー終了後、参加者から「竹中さんの生き方に共感を覚えました」などの意見をいただきました。
第10回 2013.8.28
講師:塩田 有紀(塩田有紀建築設計事務所 代表)
会場:葵丘
講師の塩田 有紀さんは東京生まれ。今思えば幼い頃のりかちゃん人形遊びではままごとよりも家づくりに時間をかけていた。高校生の頃に「建築をやったらおもしろい大人になれる」と思い、幸い理科系の勉強が得意だったので建築を学んだ。住宅の設計では家での生活が楽しくなるような家を作りたいと話す。 勉強会では、4つの作品例を紹介。共通して言えることは先入観を持たないこと。施主にあったテーマを見つけること。週末に打合せになることが多く、自分にとっては仕事だけれど、お施主様にとっては休日。「いい休日だったなぁ」と思っていただけるような打合せにしたい。施主にあったテーマが見つかるとしっくりくる住宅ができる。事例ごとにスライドや模型を使って、そうした視点から施主の要望や工夫した点について話された。 交流会では、安藤忠雄氏の番匠邸に住んだ感想を聞かれ、冬は室内でもとにかく寒い。週末だけの使用だったけれど必ず風をひいていたように思う。当時3歳くらいだった子供とは「おそとの家」と呼んでいた。しかし、築後30年という時間の経過を感じない建築としての存在感に圧倒された。また、外と内と分けて考えがちな建築の形式を、外と内を何層かに分けて段階的に空間を捉えるような感覚を得られたことは建築家の1人として良い経験だったと話された。また、これから始める自宅の設計では、建築としての存在感と居住性を併せ持つ家にしていきたいと抱負を語られた。
第9回 2013.7.25
講師:中根 辰雄(小原木材株式会社)
会場:葵丘
講師の中根辰雄さんは岡崎生まれ。地元金融機関に勤務し、支店長、ローンプラザ長を歴任。現在はその経験を活かして、工務店で住宅建設について資金調達のアドバイスをしていると話す。 勉強会では、固定金利や変動金利などローンの基本を押さえながら、返済率の問題など賢いローンの利用の仕方について話された。それに加え、消費税の増税が気になる中、政府が出している経過措置についても紹介。また、金融機関の選び方など、もと銀行員幹部ならではの話題も聞かれた。 交流会では、ローンの利率などについて、銀行による特色や借り換えについて話された。
第8回 2013.6.20
講師:丹羽 哲矢(一級建築士事務所 clublab. 代表)
会場:葵丘
講師の丹羽 哲矢さんは名古屋市生まれ。小さいころから絵を描いたり工作したりするのが好きで、中学生の時、丹下健三氏設計の代々木の体育館を知り、建築家を意識するようになった。住宅以外にも病院やオフィスビルの設計をしているが、大きさや用途が違ってもその空間の中で人がどういう気持ちで過ごすかを考えて設計していると話す。 勉強会では、3つの住宅の設計事例を紹介。最近、社会的には家を作るとういう感覚が減り、選ぶモノという感覚が広がっているように感じる。家づくりでは生活に対するこだわりや建築が人に与える影響などを考慮する必要がある。設計に当たって、施主の暮らし方や生き方について、模型などを使った対話の中から、施主が言葉に表せないところまで感じ取ることを大切にしていると話された。 交流会では、施主が「参加して自分が作った」という感覚が生まれないと、他人事になってしまい良い建築にはならない。また、1つの部屋で夏も冬も快適というよりは、1軒の中に涼しい部屋、暖かい部屋を組み込んで使い分けるのも1つとの解決策。永い年月使うために、トイレやキッチンなど生活に最小限必要な場所は段差がないようにしている。自分に依頼してもらえるなら、最初に予算と要望をはっきり提示して欲しい。要望だけを伝えられるとどうしても費用を抑えることが難しくなる。など、具体的に話された。
第7回 2013.5.23
講師:濱田 修(濱田建築事務所 代表)
会場:葵丘
講師の濱田修さんは名古屋市生まれ。大学卒業後、父親が経営する濱田建築事務所に入社したことをきっかけに設計の仕事を始め、やがて本を通して宮脇 檀氏に私淑し、住宅設計においては施主がどんな生活を希望しているのかを最も大切にしていると話す。 勉強会では、最近建てた事務所兼自宅やリフォームの案件を例に、費用のことをおりまぜながら紹介。家族の中のコミュニケーションや心のつながりが深まるような設計の工夫について話された。 交流会では、家の良し悪しは広さには関係ない。そこに暮らす家族が楽しく暮らせることが大切。面積が小さくても良い家はできる。それを実現するために、施主の方たちには、家の色形よりも「どんな暮らし方をしたいのか」を大切に考えて欲しい。実際に家を建てるときは、最終的に用意できるお金のうち、15%〜20%くらいは「幸せ予備費」として控えておいて、残った費用で家を建てると考えておけば、楽しく暮らせる家づくりができると話された。
第6回 2013.4.24
講師:宮崎 晋一(空間設計 aun 主宰)
場所:葵丘
講師の宮崎晋一さんは名古屋市生まれ。父親が大工だったので建設現場の雰囲気には子どものころから慣れていたが、大学の建築学科を卒業し、インテリアの仕事などを経験した後、設計事務所に勤務。建築家になろうと決意したのは30代の半ばだった。お客さんの気持ちを忘れず、自然と寄り添い、楽しく暮らせる家づくりをしたいと話す。 勉強会では、まずは独立して設計事務所を構える前、北欧から地中海地方まで建築を見て回った旅の話。そして、設計した事例を中心に、街路樹の季節の変化など敷地周辺の魅力を生活の中で楽しむための設計の工夫や、職人さんのこだわりなど、暮らしを豊かにするための工夫について話された。 今回は参加者が少なかったものの、むしろそのおかげで、交流会は、和気あいあいとした雰囲気となりました。参加者からは、ハウスメーカーの営業マンの話から聞いたこと、他のセミナーで教わったことなどを例に質問が出され、土地探しや家づくりの話が盛り上がりました。
第5回 2013.3.27
講師:藤尾 篤(藤尾建築構造設計事務所 代表)
場所:葵丘
講師の藤尾 篤さんは名古屋市生まれ。高校生の頃にTVニュースで見た北海道の地震のニュースで、津波被害にあった島で2軒だけ残った住宅に衝撃を受け、丈夫な家を作れるようになりたいと思い建築家を目指した。骨格が美しくなければ、最終物も美しくはならないと話す。 勉強会では、住宅で主に用いられる木造在来軸組構法を中心に話された。建築基準法で定めているのは、吹抜けなどがない2階建ての住宅を前提としている。吹抜け部分を作るときは、どのように壁などを配置すればよいか具体的に説明。話が堅くなりすぎないよう、花や有名女優の話を交えて構造とデザインの関係を紹介され、楽しく学ぶことができた。 交流会では、参加者から自宅の耐震改修工事について質問が出され、ホワイトボードに図示しながら解説し、南側に大きな開口部を持つ住宅の解放感を残しつつ、耐震性を高める工夫について話された。
第4回 2013.2.19
講師:中渡瀬 拡司(CO2WORKS一級建築士事務所 代表)
場所:葵丘
講師の中渡瀬さんは静岡生まれ。中学生のときに、部屋の掃除が好きで、模様替えによって部屋の雰囲気が劇的に変わるのが楽しく、建築に興味を持ち始めた。事務所名に「CO2」とあるのは、お客様と話すとCO2(二酸化炭素)が出る。お客様の要望を実現するには、CO2を沢山出して、良く理解し合うことが大切だと話す。 勉強会では、普段から心がけていることとして、読書や食事、旅行などと設計との関係について話された。また、設計の軸となる考えを「寄り添う建築」として、「人」に対して寄り添う5つの寄り添う要素「人」「モノ」「環境」「街」「出来事」を上げて、それぞれについて設計のヒントとなる海外・国内の写真と、建築作品の事例について紹介された。 交流会では、建築を作品と呼ぶのは少し抵抗を感じる。デザインはお客様の要望を実現することであって、芸術とは違う。自分にとっては形を表現することではなく、要望を情報として整理し、建築として「構築すること」が建築家の役割と考えていると話された。
第3回 2013.1.18
講師:島崎 義治(島崎義治建築設計事務所 代表、人間環境大学 教授)
場所:葵丘
講師の島崎さんは大阪生まれ。家づくりは家族との関係、地域や風土との関係を発見すること、そしてクライアントとの対話から要望の奥にある思いを捉えて、あるべき空間を作るのが建築家の役割と話す。 勉強会では、家づくりは間取りを考えることに終始するのではなく、物語をつくること。そのために、伝統や習慣からくる思い込みを取除くようにしている。また、千利休の七則を引き合いに、建築設計の奥深さについて話された。 交流会で質問に応えて、住宅の寿命は技術的なことよりもむしろ情緒的な側面によって左右する。いくら丈夫な家を作っても愛されない空間でなければ誰も受け継いで使い続けない。また、最善の設計をするには、永い年月に亘る暮らしから出てくる要望を受け入れる余地を持つことが大切だ。例えば、衣服であれば仕立てた時に体にぴったりの方が良いが、少しゆったりとしていた方が建築には良いと話された。
第2回 2012.12.19
講師:大鹿 智哉、原 祥子 (藤川原設計)
場所:葵丘
講師の大鹿さんは埼玉生まれ、モノづくりが好きで得意の理数系の学科を活かして建築家になろうと考えた。原さんは名古屋生まれ、現在所属する藤川原設計は父の事務所で、小さい頃から模型づくりや家づくりを身近に感じていた。建築設計にあたっては2人で議論しながらお互いのこだわりを活かすようにしていると話す。 勉強会では最近竣工した2世帯住宅を中心に家づくりについて考え方やプロセスについて講演。病院や学校・幼稚園などこれまでの経験から、建築において「ひとが集う」ところという視点を中心に、いくつかの可能性の中から新しい価値を発見し提案したい。そのために、模型を早い段階から作成し、自分たちが一旦良いと思った案であっても、最終的な形になるまでは自問しつづけると話された。 交流会では、家づくりは皆さんが思っているほど特殊なものではなく意外に簡単なもの。建築家はプロとして多くのアイデアや解決策を持っているので、自分の思いや考えを伝えて良い家づくりに活かして欲しいと話された。
第1回 2012.11.21
講師:大嶋 浩 (Open it ! 一級建築士事務所 所長)
場所:葵丘
講師の大嶋さんは名古屋市生まれ、絵を描いたり、ものを作るのが好きで、高校生の頃には建築家で独立しようと思っていた。奇抜ではなく普通であって普通ではない建築デザインをするために、こだわりを大切にしていると話す。 講演では部屋の家具配置で斜めの導線を活かしたり、天井を工夫することで広がりを感じる空間ができることや、照明計画などについてホワイトボードに話のポイントを分かりやすく図解しながら話された。 質問に応えて、コストを意識した予算配分のメリハリのつけ方を話され、他にもLED照明や床暖房など具体的な話に参加者の方々も一生懸命メモを取っていました。
- 奥山プロジェクト
- 里山プロジェクト
- 人里プロジェクト
- 里海プロジェクト
- 海洋プロジェクト
- 河川流域連携プロジェクト
- まちづくりサロン
- 2010-2013のセミナー
- 関連事業