「健康なまちづくり」

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講師:丸山 欣也氏、久住 有生氏
会場:葵丘
「健康な街づくり」シリーズ初めての2人の講師しよる講演会です。
丸山氏は、常に何かをするときにはスケッチから始める。そんなスタイルを続けられて46年、貯まったスケッチブックは200冊を超えるそうです。講演でもまずはスケッチの話から・・・建設(ビルド)と破壊(スクラップ)の中間に建築がある。常に手を入れ続けることによって建築が存在し続けられる。失敗の中に発見があり、あたらな可能性を見出すきっかけが生まれる。土や木をはじめ様々な素材を使った海外や国内でのワークショップの例を数多く引きながら、思索に富む内容でした。
久住氏にとって、いろんな仕事がある中で一番面白いのは数寄屋造りの仕事。一つの空間づくりで、いろんな職人が力を出し、主張しあって空間が出来上がってくるのだけれど、良い空間は仕上がった瞬間にどの人も主張し過ぎることなく絶妙な調和が生まれるのだそうです。「名を残すな、仕事を残せ。」と職人気質の久住氏。そうした職人気質が、返って土の仕事がだんだんと忘れられてしまってきている遠因と考えている。講演では、昔から続けられてきた土の空間づくりについて土のこと、技法のことを話されました。例えば、茶室を造るときは、施主の持つ茶道具を観てから空間の意匠を始めること。必要であれば3年寝かした土を使うこと。床柱の意趣や形状に合わせて壁を微妙に造作しながら塗ることなど。また、伝統的な仕事だけにとどまらず、現代の大規模建築の事例も紹介され、土の表現の広さを感じました。
自然の形に魅かれ、造形する2人の話は深く、時間でピリオドを打つには惜しい講演会となりました。